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 高橋優太が劇団を作り、自分で脚本を書いて演出するという。するんだって。(やるの?できるの?大丈夫?)と心配する私。

 劇団名はゴールデンピッグ。チャーミーゴリラと似てるじゃん。形容詞+動物を英語で。なんでわざわざ似せたんだ、バッシー!

 タイトルは「陽はまたのぼりそしてくりかえす」。
出演者がほとんどテニミュ出身者でまた豪華。テニミュか戦国鍋かジュノンボーイファイナリストかD-BOYSだと豪華と思ってしまうんですけども。

 高橋優太。バッシー。私の初バッシーは「純情」っていう映画。いやもうなんてかっこいいんだろうと思った。
それから高橋優太公式サイトにある出演映画は全部見て、舞台に出る情報を追いかけて、生バッシーを見て感動してた。
生バッシーは見たものの、でも映画のほうがやっぱりよくって舞台を観るとちょっと悶々としてた。
「虹色の硝子」での車に乗り込む前にみんなのほうを振り向くシーンのあの間合いが、「純情」でのケイスケのマンションから出てきて窓を見上げるときのあの間合いが大好きなんだが、なんであの絶妙の間合いが映画でできて舞台でなんでできないんだろうってずっと悶々としてたのです。

 バッシーを初めて見た芝居が「Three Street」(劇団チャーミーゴリラ。原将明クン主宰の劇団)。それから「スパイス刑事」(演出はエムキチビートのつねクンこと元吉庸泰、元モデル)
そして今回のバッシー初脚本、初演出、劇団旗揚げの舞台、「陽はまたのぼりそしてくりかえす」。バッシーの舞台を観るのはこれで3回目。うん。観たよ。観てきたよ。高橋優太扱いでチケットを買ったよ。
生温かく見守ってきたよ。確かにもっとおもしろい舞台はたくさんある。私はもっとおもしろい舞台をいっぱい観てる。そう、観てるのよ。

 でもね。演劇的にどーのこーのなんてもういいやって思った。バッシーがかっこいいからいいやって。姿かたちもだけど、それだけじゃなくてバッシーそのものがかっこいいからいい。いいや。
そんなかっこいいバッシーは演出をやりながら公園掃除の謎の男で出演も。そりゃみんなバッシーを見に来るんだから出るよね、そうよね。
でも他にもわくわくな男子ぞろい。主演の戸田慎吾クン。演出家の意図をよく汲み取っていたのでは、と思う。顔ちっちゃ!な中山麻聖クン(3代目乾ですよ! バッシーは4代目乾なんでW乾)は執事の役。執事っていうなら衣装が惜しい。橋本祐樹クン。何?この小犬のようなかわええ子は。赤いデニムとベルトがまたかわいかった。原将明(ハラマサ)クン。今回の骨、というか核はこの人でしょう。この人がコケたら芝居がコケるだろうなと思った。真山明大くん。出番が少なくて残念。後半、お祭りに関わるようにしてあげたらよかった。山岡竜弘さん(←さん付け♪)はこのメンバーだとツッコミの役回りになってしまうのはしょうがないのか。私はもっと能天気な彼が見たい。渡部紘士さん(←さん付け♪)は2年後3年後に味ある脇役として月9とかに出てそうな予感。

 舞台はね。美術にお金がかけられないというか、セットを立て込む時間も技術もないんだろう、きっと。
で、平台を段々に組んだだけの舞台にベンチひとつ。それはそれで考えたなと思った。ベンチひとつで、公園になったり、豪邸になったり、兄弟の家になったり。
なんで上手(かみて)のけこみだけ装飾して下手(しもて)はしてないのか気になるけど、いいの、そんなことは。
暗転が多過ぎるのもいいの。きっとショートコントの時間分(3分か4分くらい)しか場面をつなげない。それでもいいの。
チャーミーゴリラの公演に似ててもいいの。観客が笑ってたし、喜んでたからいいの。
大学はきっとチャイム鳴らないと思うけど、いいの。
公園を掃除するのにあの箒はおかしいけど、いいの。
バッシー、箒の掃き方がめっちゃ変だけど、いいの。
箒で掃いたことないのか?って思ったけど、いいの。もういいんです。

 芝居を観に来た女の子たちが笑えてせつない気持ちになって結局元気になって帰ればそれでいいのです。
「何をやっていいかわからない時は目の前のことをやればよい」って個人的にグッとくるせりふも聞けたし。
そういう意味でいえば観客のファンであろう女の子たちは甘やかで残酷といえば残酷。
笑うシーンでちゃんと笑い、すごくよかったと発信する。
彼女たちも役者さんを追っかけて舞台をいっぱい観て目は肥えてるはずなのに、(笑えた、よかった、おもしろかった、すごいです)とツイッターや役者のブログに書き込む。テレビや映画や舞台に出てる役者さんが、身近で見れたり、話せたり、ツイッターに返事くれたり、リツイートしてくれたりすればそりゃそりゃ嬉しいもんね。怒らせたり嫌がるようなことは書かないよな、ふつー。
このへんがテニミュ出身者のその後の活動の明暗が分かれるところ。舞台の楽しさときゃーきゃー言われる快感を知った後は役者として、さあ、どう動くか。

 それで私は(王様の耳は~)って壺の中に叫ぶのです。そしてその壺は埋めてしまえばいいんです。

 終わって帰る時に出演者のおかあさまが別の出演者にごあいさつしてるのを見た。
あれは友達におかあさんを紹介するの図だよね。舞台やって、おかあさんが観に来てくれて、友達が観に来てくれて、出演者も友達で、楽しいだろうなあと思う。「ダメ出しがいっぱいあるのよ」って身内らしき方に言われてる出演者もいた。たぶんおかあさまも女優さん。おかあさんとしては息子の舞台は観るよね、そりゃ。
私もきっぱり母の気持ち。いいんだ、それでって帰り道、自転車をこぎながらそう思ってた。自転車で行ける距離の劇場だったからね。自転車をこぎながら。もうね。演劇的なことはどうあれ、バッシーがかっこいいし、みんな楽しそうだからそれでいいよねって思いながら帰りました。
帰ってから息子(中3)に冷やし中華を作ってやり、私もいっしょに食べて。
なんかそれでいいよねって長いこと思ってました。うん。それでいいよね。

 後日。バッシーのツイッター。演出部で仕事してるって! あ。そうなの?バッシー。そっちに行くの? わかった。わかったけど。人の言うことなんか聞きゃしないだろうし、ハラハラしながら見守るから!とぼんやり思ったことでした。バッシーはどこに行くのかなあ。