これから観る舞台3月前半by執筆者・中西理
青年団若手自主企画・河村企画『スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア』(作・演出=山田百次)
3/11(火)〜17(月)アトリエ春風舎 1,800〜2,500円
劇団野の上主宰の鬼才、山田百次を作演出に招いての第2弾。前回公演の津軽藩士らの蝦夷地での殉難を描いた歴史劇「珈琲法要」は平田オリザが激賞。それに続く今作は初めて津軽弁から離れ、現代口語の群像劇を上演。河の上中学校は複式学級。生徒が少なく、全学年が1クラス。少人数ならではの、ほのぼのした学校生活。担任の先生は新採用。いつも優しく、時には熱血指導。そんな中、学校間交流から帰ってきたアイツ。覚えてきたばかりの楽しい遊びを、学校のみんなに教えてあげる。一見平和な学校を舞台に現代社会の「いまそこにある危機」を描き出す。
音楽座『リトル・プリンスII』(脚本・演出ワームホールプロジェクト)
3/13(木)〜16(日)新宿・ SPACE107 6,300円
ある霧の深い夜、一人の飛行士の操縦する飛行機が砂漠の真ん中に墜落する。飛行士はその砂漠で、星から来たという不思議な少年(星の王子さま)と出会った。 「羊の絵を描いてほしい」としつこく迫る王子に辟易する飛行士だったが、スケッチブックに描いた「象を呑み込んだウワバミ」の絵を言い当てられたことをきっかけに、次第に心を開いていく。音楽座の代表作であるミュージカル「リトル・プリンス(星の王子さま)」を客席と舞台の境目をなくすなどまったく新しい脚本・演出で再製作した。
サンプル『シフト』(作・演出:松井周)
3/14(金)〜23(日) 東京芸術劇場 3,800円
サンプルと名乗り始めての最初の作品を再演。「人間ではなく、人間の標本、人間もどきを描きたい!つまり、ゾンビ。何故なら私たちはもうゾンビだから!」と当時(2007年)は意気込んでいたと作・演出の松井周。「最近の自分の作品と比べるとかなり「人間」らしい作品だと思います。何とかして「ゾンビ」に抗おうとするあがきのようなものを感じます。資本主義と伝統行事と生殖の問題に束縛されつつ、ジタバタしています。今回の再演が、そんな「人間」であった頃の日本人に対するレクイエムのようだったらちょっと悲しいので、せめて「ゾンビ」的な愛嬌をふりまきたいと思っています」という。
中西理