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東京芸術劇場『ストリッパー物語』(作=つかこうへい、演出=三浦大輔)
7月10日(水)~28日(日) 東京芸術劇場 シアターイースト 1,000円~5,500円
1975年初演。本音と建前のフレームを突き崩す痛快な台詞の数々。それを血肉化した役者によって、舞台には「内出血の笑い」(扇田昭彦)が溢れた。1970年代につかがもたらした笑いは、戦後民主主義的な国民国家そのものを嗤い、揺さぶりをかけるものだった。そんなつか作品を、ポツドール主宰・三浦大輔が演出。三浦の劇世界に登場する人間は、容姿で優劣を判断し、性に正直に突き進む「動物」へと還元される。欲望をむき出しにした群れが、くんずほずれつの生存競争を展開してさらす醜態。三浦の笑いは、人間の動物意識が露呈して時に生まれる。生態学的アプローチが、つかの描く人間にいかに迫るのだろうか。舞台上には、両者の笑いの質の近さと遠さが提示されることだろう。

藤原央登