これから観る舞台7月後半by執筆者・山田勝仁
万有引力30周年記念公演『呪術音楽劇 邪宗門』(作=寺山修司、演出・音楽・美術=JAシーザー、共同演出=高田恵篤、脚本=白石征)
7/24(水)〜28(日)座・高円寺 3,800〜4,000円
1972年、渋谷公会堂でただ一回だけ行われた天井桟敷ヨーロッパ凱旋公演。芝居を妨害すべく集結した他劇団との乱闘や挑発。異常なまでのテンションで貫徹された舞台は今も伝説となっている。黒衣に操られる登場人物たち。その黒衣を操るのは……。様変わりした時代で再演される「邪宗門」は現代の日本社会をどう反映し、観客を挑発するか。
円『ワーニャ伯父さん』(作=A・チェーホフ、台本・演出=内藤裕子)
7/19(金)〜7/28(日) 東京芸術劇場シアター・ウエスト 3,500円〜5,500円
「最近ようやくチェーホフ劇の深遠を肌で感じるようになった」という金田明夫がワーニャ伯父さんに挑戦。
トム・プロジェクト『百枚めの写真 一銭五厘たちの横丁』(原作=児玉隆也。作・演出=ふたくちつよし)
7/24(水)〜7/28(日) 笹塚ファクトリー 2,000円〜4,500円。
戦後から28年が過ぎた1973年、東京のとある蔵で99枚の写真が写ったネガが発見される。その写真は戦時中に兵隊に故国の家族の写真を送り、士気を高めるために撮られたものだった。
しかし、氏名不詳の人々の多くは東京大空襲で壊滅。ルポライターはわずかに消息のわかった一家にたどり着くのだが……。
国家の暴力によって地上から芥子粒のように消えた「天皇から一番遠い庶民」たちの姿。出演=大西多摩恵、鳥山昌克、田中壮太郎ほか。
カタルシツ『地下室の手記』(原作=ドストエフスキー、脚本・演出=前川知大)
7/25(木)〜8/2(金) 赤坂レッドシアター 4,000円。
「イキウメ」とは別に立ち上げた演劇ユニットの旗揚げ公演。イキウメのテイストと異なる作品の上演を目指す。
世間から軽蔑され自意識という地下室に閉じこもった帝政ロシアの小官吏を、現代日本のネット社会に置き換え、ストリーミング放送でひたすら世間に向かって罵詈雑言を浴びせる若者の姿を描く。出演=安井順平、小野ゆり子。
山田勝仁