国際演劇評論家協会日本センターのメッセージ
国際演劇評論家協会日本センターは、ロシア軍によるウクライナ侵攻に際して、会長と事務局長の名前で、AICT-IATC本部の会長及び事務局長、またロシアとウクライナ両センターの代表にメッセージを2022年2月26日に送信し、その内容を協会ホームページに掲載しました。日本劇団協議会、日本演出家協会ならびに日本劇作家協会(有志)が賛同団体として加わっています。以下、その日本語訳を引用します。
演劇を愛する世界の友人たちへ、
私たち日本の演劇人は、このたびのロシア軍によるウクライナ侵攻に際して、ロシアセンターからウクライナセンターへと送られたメッセージに満腔の賛意を表させていただきます。
まず第一に、困難な状況のなかで声を上げていただいたロシアの同僚の皆さまの勇気と率先した行動に敬意を表し、ウクライナの同僚の皆さまの現状に思いを寄せて、その安全を心より祈念申し上げます。
歴史が示すとおり、戦争は死と破壊以外の何ももたらしません。それは、平和を愛する心、他者への敬意、弱きものへの共感共苦といった、人間が共有する価値観とは全く相いれないものです。
過去2500年間の演劇の歴史を見れば明らかなように、演劇は政治家や経済人、軍人ほど即座に権力を行使することはありませんが、まったくもって無力であるとは言えません。ソフォクレスの主人公アンティゴネがそうであるように、演劇は私たち人間にとって最も重要な教えを授けてくれています。すなわち、人には普遍的に従うべき規則というものがあり、それは天が定めた規則だということです。
ロシアの軍人たちに訴えます、正当な理由のない軍事攻撃に加担することをやめてください。それは何の栄光も勝利ももたらさず、ただ暴力の連鎖をもたらすだけだからです。
最後に世界中の友人と同僚の皆さんとともに、この戦争で苦しんでいるウクライナの人びとをどんな形であれ支援し、この恐るべき出来事を終わらせるために団結いたしましょう。
敬具
2022年2月26日
国際演劇評論家協会[AICT]日本センター
公益社団法人日本劇団協議会(2022年3月3日)
日本演出者協会 理事長 流山児祥
日本演出者協会理事会(2022年3月7日)
一般社団法人日本劇作家協会 会長 瀬戸山美咲
日本劇作家協会有志(2022年3月7日)